MAGPULグリップのノイズ低減加工 | Workshop Diary

MAGPULグリップのノイズ低減加工

2010年05月06日

本日はM4用のグリップ加工のお話を少々。最近人気の高い所謂マグプルTYPEのグリップですが、このタイプのグリップは(本家も含めて…)装着すると、非常に高い確率でギアノイズの増大&モーターの異常発熱&燃費の悪化&レスポンス低下、という「悪の4点セット」が発生します(笑)酷い場合はグリップを交換しただけで、今まで切れなかったヒューズが切れる時もあります。
原因としては、グリップエンド内側のモーターエンドベル支持部の形状に問題があり、モーターがグリップ内で斜めにセット(というよりもほぼ固定)されてしまい、その結果、ピニオンギア&ベベルギアの噛み合う角度がズレてしまうのが理由のようです。

更にピニオンギア&ベベルギア間のバックラッシュ調整用スクリューがエンドベル全体を押し上げる方式の為、更に拍車を掛けています。この方式自体は決して間違った方式ではありませんが、今回の様にモーターがグリップ内で斜めに固定されている場合、当然ですがエンドベルも斜めになっています。そのエンドベルをそのままの角度で押し上げる事になるので、いくら調整しても正しいバックラッシュにはなりませんし、正しい角度に戻る事もありません。

まずは調整用スクリューをエンドベル全体を押すタイプではなく、ローターシャフトをダイレクトに押す方式へ加工します。
4mmベアリングでローターシャフトのみを押し上げますので精度の高いバックラッシュ調整が可能になります。そもそも電動ガンのバックラッシュ調整とは、ローターシャフトに圧入されているピニオンギアを上下させ、ベベルギアとのクリアランス(バックラッシュ)を最適な位置に調整しましょう、というのが目的ですので、本来はピニオンギアのみ上下させる事(ベベルギアは完全固定で)が理想です。ですが、その為には毎回分解しなければなりませんし、コンマ数ミリ単位でピニオンギアの圧入の深さを変える必要があります。それだとあまりにも、作業性が悪い(生産ラインでの最終調整の際等)ので少々精度は落ちるが、外部からモーター自体を動かしてピニオンギアを上下させましょう、というのが電動ガンのバックラッシュ調整だと私は勝手に思ってます(笑)
もちろん、この方法でもピニオンギアの位置調整は可能ですが、重要な点はピニオンギアはローターシャフトに圧入で固定されているのでガタは存在しませんが、ローターシャフトとモーターケースの間にはガタがあります。試しにお持ちのモーターのピニオンギアを持って引っ張ってもらえればわかりますが、上下にカタカタと動くはずです。(もし、全く動かない場合は、それはそれで問題アリなんですが…)これはローターをスムーズに回転させる為に必要なクリアランスですが、「ピニオンギアの位置調整」という観点からは邪魔なガタです。
この部分のガタを一切排除してピニオンギア位置の調整を可能にするのがシャフトをダイレクトに押す今回の方式です。エンドベルを押す方式ですと、あくまでも押しているのはエンドベル(=モーターケース)ですので、いくら調整してもローターシャフト&ケース間のガタは無くなりません。つまり、ベストな位置に調整しても常にこのガタ分は上下に動いてしまっている事になります。シャフトをダイレクトに押す方式ですと、モーターケースとのガタは一切関係無くなりますのでピニオンギアの位置決めが正確になります。(=ギアノイズの低減)

次に、グリップエンド側を加工します。本来は中心の丸い部分内(金色の真鍮パーツ)にエンドベルの丸いお尻(笑)が、すっぽりと収まるんですが寸法が小さい為、お尻が入りません。
この中にお尻がキレイに入らないとグリップ内でのモーターの角度がズレてしまいますので内径を拡大し正しい角度に修正します。かと言って大きくし過ぎると、今度はフリーに動き過ぎてしまい、別の問題が発生しますのでほんの少しずつ様子を見ながらの作業となります。
イマイチ、表現が難しいのですが、位置決めはしたいけど、ガッチリ固定はイヤ!でもユルユルはもっとイヤ!っという感じでしょうか…(笑)う~ん、電動ガンって気難しいですね…。
全てのグリップに当てはまるかは不明ですが過去に当店で作業したグリップに関しては上記の加工を行う事で、別モノのような性能に生まれ変わっています。マグプルTYPEのグリップでお困りの方はお気軽にお問い合わせ下さい。

KEN

Be-MAX japan