インナーバレルクリーニングのすすめ その1 | Workshop Diary

インナーバレルクリーニングのすすめ その1

2016年07月28日

1.JPG大変ご無沙汰しております。3月から4月にかけての工房移転のバタバタもあり、なかなか更新が出来ない状態でしたが、最近は大分落ち着いてきました。工房の移転は工作機械や作業台の移動もあり当初、私が考えていたよりも13倍位は大変でした…。もう二度と工房を移転する事はないでしょう(笑)そんな話はさておき、今回はインナーバレルクリーニングのお話です。サバイバルゲームのシーズン真っ盛りの今、ゲーマーの方は発射弾数も飛躍的に増えると思います。インナーバレルのクリーニングは単にバレル内の汚れを除去して本来の弾道性能を維持するという目的以外にも「弾詰まりによる本体側の故障※ピストン、ギア等の駆動系パーツ破損」を未然に防ぐという大事な役目もあります。昨今は完全にバイオBB弾が主流ですが、通常BB弾に比べるとバイオBB弾は柔らかい為、バレル内にBB弾のカスが付着しやすい傾向があります。バイオBB弾の柔らかさに関しては以前、ご紹介しましたので今回は割愛しますので詳細は「こちら」をご参照下さい。付着する量はメーカーによって差はありますが(マルイ製のバイオBB弾が一番少ないですね)、どのメーカーの物でも通常BB弾に比べると少なからず付着する事は避けられません。このBB弾カスは単に弾道性能の低下を引き起こすだけで無く、そのまま放置しておくと「弾詰まり」の原因になります。電動ガンの場合、「弾詰まり」はメカBOX内部の駆動系パーツ破損に直結しますのでギア交換やピストン交換という修理代が高くつくトラブルになりがちです。先日、某メーカーの方とお話をする機会がありましたが修理で送られてくる本体の半分以上は「弾詰まり」が原因による物だそうです。当店にも多くの修理依頼品&カスタム依頼品が持ち込まれますが確かに「弾詰まり」が原因による故障は多いですね。少しでも無用なトラブルを回避して頂ければと思い、今回は当店が行っているバレルクリーニングの方法をご紹介します。まず、バレルクリーニングと一口に言っても大別すると2種類に分けられます。ひとつは今回ご紹介する「本体に組み込まれている状態」でのクリーニング。軽度な汚れであれば、この方法で十分対応出来ます。分解作業も必要無い為、誰にでも行えるメンテナンス方法です。もうひとつは「完全分解してバレル単体」で行うクリーニングです。バイオBB弾のカスはメーカーにもよりますが付着してから時間が経過すると「超!」強力にこびり付きます。その威力は強烈で通常のクリーニングではほとんど落ちません…。このような状態になってしまうとバレル単体にして徹底的なクリーニングが必要になります。(バレル単体でのクリーニング方法は「その2」でご紹介します。の予定です…。)という事で今回は基本となる「本体に組み込まれている状態」でのバレルクリーニングです。まずは必要な物として、クリーニングロッド先端に巻き付けるウエスです。当店ではバレルクリーニングの際には「キムワイプ」を使っています。理系の世界(実験器具の清掃に使用)やラジコン業界(グリップ剤の拭き取りに使用)では、知らない人は居ない位の有名なペーパーウエスですね。ティッシュや布切れと違い、このキムワイプはケバ立たず、毛クズが出ないのが特徴です。インナーバレルはHOP穴の内側に「バリ」が残っている事も多く(特に海外製の純正バレル)、ティッシュ等を使うとこの「バリ」に引っ掛かって毛クズが残ります。クリーニングしたつもりが逆に毛クズを残してしまっては本末転倒です。HOP穴以外の部分でもキムワイプを使うとビックリする位、毛クズが残りません。加えて表面が細かい凹凸形状になっており、汚れを「こそぎ落とす」能力が非常に高いです。最近は大きめのホームセンターでも見かけますし、ラジコン専門店であれば大抵は販売していると思います。特別に高価な物ではありませんので(色々なサイズがありますが、当店で使用しているサイズですと1箱¥150位です)、しっかりとバレルクリーニングしたい方は是非とも買ってみて下さい。(キムワイプの回し者ではありません)

2.JPG誰もが1本は家に転がっているであろう一般的なクリーニングロッドです。ウエスを巻き付ける際に必要なスリットがあれば、十分です。

3.JPGマルイのシリコンスプレーです。当店的にはキムワイプと同じ位、バレルクリーニングには必須のアイテムです。シリコンスプレー自体はホームセンターでも色々な物が販売されていますが、粘度が高い物が多く電動ガンのバレルクリーニングには適さない物が多いです。確かにホームセンターで販売されている物よりも割高ですが、大量に使う訳ではありませんので1本あれば当分は使えます。個人レベルで使うのであれば頻繁にメンテナンスする方でも1~2年は持つと思います。同様の理由で例えエアガン用で販売されているシリコンスプレーであっても粘度が高い物は適しませんのでご注意下さい。高粘度のシリコンスプレーをチャンバーに吹いてしまうと散弾銃の様な弾道になります…。かくいう私も電動ガンが出始めの頃に当時は誰もが持っていたJACの「シリコンクイック」をチャンバーにプシューと吹いて痛い目に遭っています(笑)尚、「5-56」や「WD-40」等のオイルスプレーは厳禁ですのでくれぐれもご注意下さい。樹脂やゴムが劣化して確実に故障します。(これらのオイルスプレーは「その2」で使います)

それではクリーニング作業に入ります。まず最初にチャンバー側からシリコンスプレーをシュッとひと吹きします。大量に吹く必要はありませんので1秒位で十分です。

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次にキムワイプを短冊状にカットします。幅や長さはこの位が丁度良いと思います。当店の場合は大量に使いますのでスグに使えるように作り置きしています。

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クリーニングロッド先端のスリットに短冊状にカットしたキムワイプを少しだけ通します。通し過ぎると巻いた後の外径が太くなりバレル内に通らなくなるので、「チョットだけよ」がポイントです。

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「チョットだけよ」で通した先端を折り返して(抜け止め)、テンションを掛けながら巻いていきます。「右巻き」、「左巻き」どちらでも構いませんが、どっち方向で巻いたのか、は覚えておいてください。ちなみに私の場合は特に意識している訳ではありませんが「左巻き」です。

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巻き終わったらシリコンスプレーを全体が湿る程度に吹き付けます。

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11.JPGこんな感じで全体がシリコンスプレーで湿った状態になればOKです。昔(通常BB弾が主流だった頃)は基本「バレル内は油分ゼロ」が良しとされていました。通常BB弾はカスの付着がほとんど発生しないので、バレル内は極力、油分ゼロにしてホコリの付着を抑えましょう、というのがセオリーだったと思います。当時、各社から販売されていたバレルクリーニング剤も、ほとんどが「脱脂系」の商品でした。(中には「コレ、単なるシンナーでしょ!」的な商品もありましたが…)ところがバイオBB弾の場合は、カスが付着しやすく付着力も強い為、カラ拭きでのクリーニングでは除去しきれません。場合によってはカラ拭きだと余計にカスが発生して逆効果になる場合も多々あります。シリコンスプレーを使う事で付着しているカスが落ちやすくなる事&付着しにくくなる事&再度付着した際のクリーニングが容易になる事、というメリットがあります。バイオBB弾特有の理由により今の時代はバレル内はシリコンスプレーでコーティングした方が良いと当店では考えています。

12.JPG銃口からロッド先端を差し込みます。この時、あまりにもキツい場合は強引に入れないで下さい。巻き付けたウエスの外径を調整して「緩すぎず、キツ過ぎず」の状態にします。電動ガンは構造上、樹脂製のC型クリップでチャンバーとインナーバレルとを結合しています。キツいウエスを強引に突っ込んでグリグリしてしまうと、クリップの結合が負けてしまいインナーバレルがズレます。チャンバー内でインナーバレルがズレると「HOPが全く効かなくなる」、「チャンバーパッキンが破れる」といったトラブルが発生します。こうなると分解作業が必要になりますのでご注意下さい。

13.JPG外径に問題が無い場合はロッドを入れていきます。この際に先ほどウエスを巻いた方向と同じ方向へ回転させながらロッドを入れていきます。回転させずにロッドを入れていくと、単に「汚れを奥へ押し込んでいるだけ」になりますので、この回転運動が非常に重要なポイントです。その為にもバレルに入れる前の外径の調整は必ず行って下さい。加えて、ウエスを巻いた方向と同じ方向で回転させる事で、ウエスがほどけにくくなり「ロッドを引き抜いたらウエスが無かった…(泣)」という悲劇も回避出来ます。ウエスがほどけてバレル内に残ってしまうと全バラ決定です。間違ってもBB弾を発射させて強引に取り出そう!というワイルドな事はしないで下さい。高い確率でギアやピストンが逝きます。(若気の至りで経験済み)
ロッドを入れる深さは、先端がカツンと止まる位置(ノズルに当たる位置)が目安になります。この位置は丁度、チャンバーパッキンとウエスが接触しているので、この位置のまま数回転させて「行き」は終了です。

14.JPG「帰り」も同様に、ウエスを巻いた方向に回転させながら引き抜いてバレルクリーニングは終了となります。小型のLEDライト等でバレル内の状態を確認し、綺麗になっていれば完了です。まだ汚れが残っている場合は上記の工程を複数回繰り返します。尚、バレル内を覗く際にシュアファイアーに代表されるフラッシュライト系はお勧め致しません。ピカピカのアルミピストンヘッドが組まれていると思わぬ反撃を喰らいます。(若気の至…)今回ご紹介した内容は分解作業も不要で誰にでも行えるメンテナンスです。バレルクリーニングを行う事は弾道性能の維持だけで無く、弾詰まりによるメカBOX故障も未然に防ぎます。無用なトラブルを避ける為にも是非とも定期的なバレルクリーニングをおすすめ致します。

KEN

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